8.アジアカップ③日本vウズベキスタン分析~メンバーを入れ替えて挑んだ中での明暗~

2019/01/21

試合分析 日本代表

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2連勝でグループステージ突破を決めた日本代表。首位通過を争うことになったウズベキスタン戦では、前半に先制されながらもすぐさま追いつき後半に逆転し2-1。3連勝でグループステージを終えた。

6.アジアカップ①日本vトルクメニスタン分析~2点リードから不安な展開~
7.アジアカップ②日本vオマーン分析~初戦から改善できた点とできなかった点~

ウズベキスタン戦の日本代表先発メンバー


得点:武藤嘉紀、塩谷司

試合前日の会見で森保監督が語っていたとおり、オマーン戦で先発した北川以外は今大会初先発で、ここまで試合に出ていない選手を多く起用し試合に臨んだ。システムは基本的にはこれまでと同じ442。

GS突破が決まっているウズベキスタンも前線のショムロドフ、ハムダモフ、中盤のシュクロフ、シディコフ、GKネステロフ以外はメンバーを入れ替えてきた。

遅れた槙野、三浦のショムロドフへの対応

40分に日本が先制される展開となった今日のウズベキスタン戦。その失点の際には、槙野智章三浦弦太の2センターバックがショムロドフに対応しながらも突破されるという形が見られた。

その前の段階で17分には槙野がショムロドフにプレッシャーに行けていない場面があったし、失点前の36分にもショムロドフへの一発の縦パスに対し、三浦が対応を誤るなど対応しきれていなかった。これは失点後の後半にも見られ修正はできていなかった。

相手がボール貰いに行くところを潰すプレーはセンターバックに必須の要素であり、疲れが出てくる終盤ならまだしも、前半からどちらもチャレンジできていなかったところは気がかりな点だ。

攻守にアグレッシブな動きを見せた塩谷

センターバックの寄せの甘さが見られたことをまず話したが、この問題は前の選手にも少なからず原因がある。

例えば縦パスが入る前に、パスの出し手に対してプレッシャーをかけられていたのかどうか。コースを切っていたのか。そこに関しては前線2枚、中盤4枚の選手にも責任がある。

キャプテンとして中盤に入った青山敏弘は、攻撃面では落ち着いてボール回しの中心となっていたが、守備でも落ち着いてしまっていた。元同僚の塩谷や佐々木が必死にカバーする形が見られたが、これはJリーグのシーズンを終えたベテランであることや、コンディションを考慮すれば仕方のないことなのだろうか。

ウズベキスタン戦ではこういったプレスの連動がない場面が目立ち、相手がノープレッシャーで前を向いてパスを繋ぐ場面も見られた。

Jリーグではボールを保持する相手に対し「見るだけのブロック守備」が多くなる傾向にあるが、この守備はリスクは抑えられる一方、力強く突破してくる相手には対応が遅れ、一気に打開される。今日はまさにそんな状態の時間が多かった。

その中で唯一アグレッシブな守備を見せていたのがUAEのアル・アインに在籍している塩谷司だった。

周りが躊躇する中で厳しく食らいついてボール奪取を試みる姿勢は、現代フットボールにおいて必要不可欠の能力である。それを当然のようにできているのを見ると、ヨーロッパでなくとも海外でやっているというのがやはり大きいのか、と考えてしまう出来事だった。

後半にはミドルシュートを突き刺し逆転ゴールも決める活躍を見せ、攻守に存在感を発揮。森保監督の掲げる「攻守すべてで貢献してもらう」という言葉を見事に体現してみせた。

アクセントとなった伊東の仕掛け

ここまでは守備をメインに分析してきたが、攻撃面で目立った選手を挙げるとすればまずは伊東純也か。

右サイドから何度もドリブルを仕掛け、相手ゴール陣内へ運んではミドルシュートも放つなど前後半共に積極的な攻撃姿勢を見せアピールした。

それだけに、ラストパスが味方にあっていなかったのが残念だった。パスの前の段階で味方の動き出しとスペースを見る余裕が生まれれば、今後の代表でもアクセントを作ることができるし、もっと存在感を発揮できる。

前線の武藤嘉紀に関しては、なんといってもゴールを決めたことが何よりも大きい、これまではゴールを求めるがあまり、周りが見えていないプレーも多かったが、得点を決め心に余裕もでるだろう。大迫の負傷しコンディションが不透明な中で、これからの試合でも出番があるはずで、今後も期待したい。

後半は1点リードで逃げ切り態勢

塩谷のゴールで逆転したあとは、ウズベキスタンが前に出てきたこともあり、日本も相手の攻撃を自陣で構えて対処しはじめた。攻撃では時間を使いながらパスを回す時間も増えた。

オマーン戦も同じように試合を終わらせに入る展開は見られ、同じようにゲームを進めていった形だろう。

終盤は乾貴士に疲れが見え、ミスが増えてカウンターの起点とされたことで原口元気を投入。さらに武藤に代えて遠藤航を入れ、動けなくなっていた青山を一列前に出して守備の意思をさらに明確にした。最後の交代もアディショナルタイムに北川に代え冨安健洋を入れ、時間を使い勝利。

次の相手を考えず、ウズベキスタン戦でも勝ちを狙いに行くという宣言通りの結果を出した日本代表。これからトーナメントに入り、グループステージで見られた問題点をどこまで修正できるか。攻撃面は試合中にうまく改善できているので、守備面の安定を図りたいところだ。

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