ジネディーヌ・ジダンに代わり、今季からスペイン代表監督であったフレン・ロペテギ監督が就任したレアル・マドリー。今回はプレシーズンから開幕3戦までのシステムや試合で目立ったポイントを見ていく。
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18-19 レアル・マドリーの移籍・戦績情報
7~8月 プレシーズンマッチは多くの主力が参加
プレシーズンのアメリカ遠征には、W杯ベスト8以上まで勝ち進んだモドリッチ、カゼミーロ、マルセロ、ヴァランらには休暇が与えられた。その一方で、グループステージ敗退のナバスやクロース、さらにはベスト16敗退のスペイン代表のカルバハル、ラモス、ナチョ、アセンシオ、イスコ、バスケスらも参加し、ベイルやベンゼマ含めて主力選手の多くが集まった。
この中でもイスコ、カルバハル、ナチョらはU-21スペイン代表時代のロペテギ監督の教え子でもあり、そういった意味でも戦術をある程度固める時間はあったと見てよいだろう。
ただし、新加入のオドリオソラや若手のバジェホはプレシーズン中の負傷で、リーガ開幕へのレギュラー争いからは外れてしまった。
8月 UEFAスーパーカップではアトレティコに敗戦
UEFAスーパーカップ ●2-4(2-2 延長0-2)アトレティコ
8月19日のリーガ開幕を前に、昨季のCL王者マドリーは早くも15日のUEFAスーパーカップでアトレティコとの対戦で公式戦の幕を開ける。
システムは昨季のジダン監督も用いた433の採用。ロナウドのポジションであった左WGにはアセンシオを配置、チームに合流したばかりのモドリッチのポジションにはイスコが入った。
結果から見れば2-4のスコアでの敗戦となったが、延長戦に入るまでは2-2で、どちらが優位と言えるわけでもなく互角の試合を行っていた。勝敗を分けたのは、アトレティコのほうが勝つためのモチベーションが強かったというところか。運動量や寄せの早さといった面では明らかにアトレティコに分があった。
戦術的な観点で言えば全体的にアトレティコが前に出てきたこともあり、マドリーが相手の攻撃を止めボールを奪ってからは前方にスペースが空く状態ができていた。
こういった状況にめっぽう強いのが右WGに位置するベイルと左WGのアセンシオだ。特にベイルは何度もドリブル突破を仕掛け、カウンター攻撃で相手の脅威となった。ベンゼマの得点もベイルの仕掛けからのクロスで生まれたものだった。
前半はこのような形が何度もあり、あえて言えば29分34分にもあったようなシュートチャンスをアセンシオがしっかり仕留めておけば、展開は違ったかもしれない。
8月 ラ・リーガ開幕から3連勝を飾る
1節 ○2-0ヘタフェ
2節 ○4-1ジローナ
3節 ○4-1レガネス
スーパーカップで敗れはしたものの、ラ・リーガが開幕するとそこから3連勝と、新体制でも問題のないスタートを切ることに成功した。
クリスティアーノ・ロナウドという絶対的なエースは不在ながら、チーム全体で連動した動きをすることでその面での不安もここまでは出ていない。
攻撃面で大きなスーパーカップでも存在感を見せたベイルの活躍だろう。キレのあるドリブルからのシュート、クロスは世界屈指でありそう簡単に止められることはない。
さらに、これまではロナウドのフォローに回ることの多かったベンゼマが「ストライカー宣言」し、3試合4ゴールと結果を出していることも大きな成果だ。
また、左SBマルセロ、右SBカルバハルの両サイドバックの攻撃参加で安定した攻撃の分厚さを生み出していることも大きい。1節ヘタフェ戦の先制点はまさにそれが象徴されたシーンで、マルセロの高い位置での縦パスを起点とし、ベイルが仕掛けてクロス、そこにカルバハルが走り込みヘッドで合わせるという得点だった。
守備陣に関しては4-3のシステムを基本に、最終ラインは左からマルセロ、セルヒオ・ラモス、ヴァラン、カルバハルのセットを配置。中盤にはカゼミーロを底において、左クロース、右モドリッチという昨季から不動のメンバーをロペテギ監督も採用している。モドリッチとヴァランに関しては、コンディションが整っていないこともあって3節レガネス戦からの先発ではあったが、これが本来の形だろう。
ただし2節ジローナ戦で見せたような、守備面でウィークポイントとなることもあるマルセロを交代し、ナチョを置くなど、得点よりもリスク管理を優先する一面は見せた。
例えば中盤3枚にイスコを起用したときは、より前に位置取るため、マルセロへの守備の負担が余計に増えることになるからだ。「失点をしないことが戦う上では基本だ」といったロペテギ監督の言葉からもそれは伺える。
昨季はCLに関しては3連覇と快挙を達成したが、ラ・リーガに置いては不安定な状態が続いた。それを考えれば十分と言えるだろう。