2018年の、そしてアジアカップ前最後の試合となったベネズエラとキルギス戦を1勝1敗で終えた日本代表。
ウルグアイ戦に続いて南米勢との戦いとなったベネズエラ戦では先制しながらも後半追いつかれ1-1のドロー。続いて行われたアジア地域のキルギスとの試合では序盤に2得点を奪い、後半もメンバー交代で追撃し4-0と危なげなく勝ちきった。
招集メンバー
監督 森保一
GK 東口順昭 権田修一 シュミット・ダニエル
DF 吉田麻也 酒井宏樹 槙野智章 三浦弦太 室屋成 佐々木翔 冨安健洋 山中亮輔※初招集
MF 原口元気 柴崎岳 遠藤航 伊東純也 三竿健斗 中島翔哉 堂安律 守田英正※追加招集
FW 大迫勇也 南野拓実 北川航也
負傷辞退
青山敏弘 鈴木優磨※初招集
前回からの選外
長友佑都(10月末肺気胸) 川又堅碁 三浦弦太
10月のメンバーから大きな変更はなし。青山と長友のベテラン、またA代表初招集となった鈴木が負傷で招集外となったことで、国内組の守田(川崎フロンターレ)と山中(横浜F・マリノス)が入った。
2018/11/16 日本vベネズエラ ○1-1
得点:酒井宏樹
リンコン
ウルグアイ戦から前線~中盤の6人にメンバー変更なく、最終ラインはCB三浦の位置に富安、左SB長友の位置に佐々木が入った442の布陣を継続。3バックに関しては吉田がもっと練習する時間が必要だと語っていた。
試合前には交通渋滞でウォームアップなしで試合に挑むというアクシデントもあったが、前回に続いて連動して前から奪いに行き積極的に攻撃を仕掛ける姿勢は見られた。
先制点もベネズエラ陣内で囲い込みボールを奪った堂安が倒されて得たフリーキックからの得点で、酒井宏樹が代表初ゴールを決め先制している。
前線4人の連動性はベネズエラ相手にも通用し、多くのチャンスを作り出していた。特に前半は何度も決定機を作れていたため、勝ちきれる可能性は十分にあった試合だった。
大迫勇也の圧倒的な存在感
試合全体を通して目立ったのは大迫勇也の献身的な攻守での働きだ。前線でアタッカーとして注目されている中島、南野、堂安が自由に動き仕掛けられるもの前線に大迫がいて常に相手のマークを引き受けてくれることが非常に大きい。
さらに前線だけでなく下がってボールを受けても相手に奪われず、そこでタメを作って二列目が前線に走り込む時間を作り、そこに縦パスをしっかり入れていける。現在の日本代表では代えの利かない選手となっている。
今日の試合は多くののチャンスはこの大迫を起点とした攻撃から生まれていた。
遠藤航と柴崎岳の中盤での関係性
今日の中盤センターの2枚は柴崎が後方で待機し最終ラインとの組み立てに参加する時間が多く、遠藤が前目で攻撃に絡むという位置取り。
遠藤は試合前にも「攻撃に関わる部分と後ろに残る状況判断を大事にしたい」と語っていたが、前半からワン、ツータッチで前線にパスを入れるなど周りがよく見えていた。
一方で柴崎はクラブで出場機会がないことで試合感がないのか出し手としても受けて手としてもパスが繋がらない場面が見られた。また、前半は相手のプレッシャーが厳しかったこともあり、後半は持ち直しスペースを突いたパスやフィニッシュに絡む動きもやっと見せ始める。
リンコンへの対応
日本が苦しんだ最大の理由は、中盤の底に入ったリンコンの日本の中盤を越えていく縦へのミドルパスだ。
最終ラインに下がってパスを受けたリンコンは、そこから左右のサイドに早いタイミングでパスを出して日本のブロックを揺さぶりにかけてきた。これに対して日本は誰が寄せるのか定まらず、中途半端な位置取りから右サイドのムリージョ、ロサレスのパスが通る場面が目立った。
日本は攻撃的な姿勢を評価される中島が高い位置を取り相手にプレッシャーかけるぶん、守備時は手薄になり、左サイドバックの佐々木が一人で対応しなければならない場面も多くなってしまう。
ここで中島が守備を意識しすぎて下がってしまえば相手の守備が楽になるため、相手にとって中島が驚異になるのであれば守備負担を増やすのは得策ではない。この辺りのバランス取りは強豪に対して勝つためのキーポイントとなってくるだろう。
また守備面では吉田がビルドアップ時に相手のプレスに引っかからないよう心がけると話していたが、前半はチーム全体で引っかかるシーンが多く、気をつけているのに対策ができないのは相手の実力ゆえなのだろうか。
交代選手の働き
後半流れが停滞し始めた時間帯で互いに選手交代に動き、日本は失点直前の75分過ぎに前線の4枚が総入れ替えという形になった。
そこで起用された原口元気、北川航也、伊東純也、杉本健勇の4人は当然連携面で劣るのはやむなしであり、残りの時間帯を考えても少しでもアピールできれば十分だった。
例えば、ロシアワールドカップも経験している原口はボールを奪われても即奪い返す姿勢を相変わらず見せ、そこから仕掛けてのクロスを終了間際に見せ実力を見せた。
一方で、2トップを組んだ杉本と北川は国際試合で強さを見せることはできなかった。特に杉本は前線の守備からポストワークの部分も含めて大迫とは意識に差があることを感じさせられた。
杉本に関しては追加招集であり、限られた時間であったにせよクラブレベルでも見られる守備の緩さがここでも出てしまっていた。
2018/11/20 日本vキルギス ○4-0
得点:山中、原口、大迫、中島