アルゼンチン
「フィニッシュの問題は私が特に心配していることだ。多くのオプションを持っていても生かせないチームはいつも苦戦するものだ。この数日間はそこに取り組むことができた」
「どちらのチームも効率的な戦いはできていない。コロンビアは1点しか奪えていない。彼らにとってはカルロス・サンチェスとエドウィン・バレンシアの欠場も大きく響くことになるだろう。中盤を後ろから支えていた選手たちだからだ」Goal.com
初戦のパラグアイ戦では2点リードしながらも、終了間際に追いつかれドロースタートとなったアルゼンチン。それでもその後はウルグアイ、ジャマイカ相手に共に1-0で2連勝を飾り順当に首位で通過した。14年W杯でアルゼンチンを準優勝に導いたアレハンドロ・サベージャに代わり指揮を執るのは13-14シーズンにバルセロナを率いたマルティーノ監督だが、チームの基本メンバー・戦術面で見てもさほど代わったという印象は受けない。基本的に後方選手がセーフティでリスクを負わないことを徹底し、前線の選手の個の力で得点を奪うというとてもシンプルで手堅いサッカーを展開している。
先発メンバーと見ると、4年前の11年コパから14W杯の選出メンバーであるGKロムロ、DFロホ、サバレタ、ガライ、MFマスケラーノ、FWディ・マリア、メッシ、アグエロ、イグアインは今大会でも健在でその地位をキープしている。14年W杯からのメンバーで定位置を守っているのはラツィオ所属のビリアくらいで、他の強豪国と同じく成熟したチームといえる。
戦術面では上に書いたとおり豪華な顔ぶれが揃う前線の個を生かした攻撃が持ち味で、メッシ、アグエロ(イグアイン)、ディ・マリアの3トップが相手の守備をどう打開するかが全てと言っていい。その中でも今季バルセロナでも好調だったメッシの存在は際立っている。今大会でも右サイドから仕掛けるドリブル数はチームの中でも群を抜いており、いかにメッシがチャンスメイクしシュートに持ち込めるかが勝負のポイントとなる。
これ付け加えるとすれば、最前線で常にゴールのチャンスを伺い裏に飛び出すアグエロの献身性だろうか。ここまで2試合先発で2ゴールとしっかり結果を残し、守備側がメッシにだけ集中できない状況を作り出している。
とはいってもメッシへの依存度は高いため、例えばほぼGL突破の決まったジャマイカ戦ではメッシの仕掛けは少なく、それと同時にチームのバランスも崩れるといったところを見てもわかるはずだ。 まああれだけずば抜けた選手がいればしかたのないことではあるが。
ここからは前線より後ろのメンバーを見ていく。まず中盤のパストーレとバネガは自陣で奪ったボールをドリブルで運び、前線の選手に繋ぐという役割をきっちりこなしていた。両者ともに懐の深いキープ力と縦への鋭いパスが持ち味で、自陣から相手陣内への長い距離を一人で運ぶことができる。リスクを負うことなく攻撃できるというのはこういった面にも見ることができる。
その2人の後方で、あるいはコンビを組むマスケラーノはまさに最終ライン前の防波堤として体を張ったボール奪取が目立つ。攻守のつなぎ役としての貢献度を考えればメッシよ
と同じくチームの核であるといえるだろう。
最終ラインの4選手に関してはラインを高くは取らず、両サイドバックのロホ、サバレタにしてもパス回しで攻撃参加することはあっても決して高い位置を保持ままにせず、基本は自分の守備範囲で相手を自由にさせないことが最優先されている印象だった。
準々決勝のコロンビア戦でもこの戦術は変わることはないだろう。相手も固い守備を軸とするコロンビアなだけに、結局はメッシがどう切り裂くのかというところがポイントになるはずだ。
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