ブラジル
ドゥンガ監督 |
「批判や重圧は常にあるものだ。試合に勝っても全員を満足させることはできないのだから。しかし、国を代表して戦うのは幸せで、名誉なことだ」14W杯でドイツに1-7と惨敗してから約一年。その間、メンバーは大きく様変わりした。監督には過去セレソンの指揮を取り、07年コパ・アメリカを制した実績もあるドゥンガを迎え、今大会の選出メンバーを見ても、13年のコンフェデレーションズ杯、そして14W杯を戦ってきた選手はGKのジェフェルソン、DFのチアゴ・シウバ、ダビド・ルイス、Dアウベス、MFのネイマールの5人のみという事実がそれを物語っている。
「我々は試合に勝つために、これまでと同じやり方を実践する。意見を言うのは自由だし、すべてを尊重する。だが今は、パラグアイを倒すことに集中しているよ」
セレソンの名誉を取り戻すためにも絶対にタイトルが欲しい。そんな状況で挑んだ今大だったが、グループリーグを見る限り苦しい状態からは抜け出せていないように思える。具体的に言えば、結局のところネイマールに依存するチーム状態は変わらず、過去怪物を生み出してきた前線のストライカーも存在感を出せずに相手に怖さを与えられていない。
とにかくボールを奪ったらネイマールに集める。そしてネイマールが中盤から仕掛けチャンスを作り出す。出場した試合ではアルゼンチンのメッシ同様、ドリブル数、シュート数ともにチームトップと数字で見てもそれは明らかである。とはいってもネイマール以外の欧州のビッグクラブでの活躍を見れば、そうなってしまうのも致し方ないか。
しかし、大会中に事件は起きた。このような状況にも関わらず、2戦目のコロンビア戦終了後の行為によってネイマールに4試合出場停止処分が下されてしまったのである。これは決勝まで行っても残り4試合なので、今大会から追放されたも同じ。
この時点でグループリーグ進出を決めていなかったブラジルは、3戦目のベネズエラ戦に勝つか引き分けが必要となった。そこでネイマール代役を担うことになったのは、同じくサントス出身でネイマール以前にクラブで10番をつけていたロビーニョ。07年コパではドゥンガ監督の元で6得点でMVPに輝き優勝に大きく貢献した選手であり、信頼も厚いのだろう。
そのロビーニョがベネズエラ戦で見事に結果を出して見せた。2列目のウィリアン、コウチーニョと連動し相手を撹乱すると、先制点となるコーナーキックではチアゴ・シウバのゴールをアシストしてみせる。それ以外にもドリブルで仕掛けシュートまで持ち込むシーンもあり、ベテランが緊急事態の中でも落ち着いた働きを見せチームを勝利に導いた。
新しいチーム作りはまだまだと言った感もあり魅力的な試合はなかなかできていないが、それでも勝ちが必然のこの国のサッカーにはどうしても期待してしまう。パラグアイ戦では誰が輝くのか。ネイマールがいない今だからこそ他の選手は存在感を見せて欲しいところだ。
グループリーグ戦績