プレシーズンマッチ
アメリカでのプレシーズンは新加入したクリスティアーノ・ロナウドを含め、W杯に選ばれ決勝トーナメントまで進出した国の選手は参加せず、セリエA開幕戦である8月中順に照準を合わせることとなった。
システムに関しては主力組、特に前線の選手はいなかったものの、プレシーズンマッチでも昨季からの採用している433を基本に調整を行った。
セリエAは開幕から3連勝と盤石のスタート
1節 ○2-0 キエーボ
2節 ○3-2 ラツィオ
3節 ○2-1 パルマ
1節のキエーボ(ピックアップマッチとして詳細を後述)、3節パルマ戦ともに先制しながら追いつかれる展開ながらもしっかり勝ちきり、昨季5位のラツィオも完封。新戦力を加えながらも3連勝でセリエA8連覇へ向け好スタートを切った。
ピックアップマッチ 1節 キエーボ ○3-2
開幕戦でさっそく新加入のロナウド、ジョアン・カンセロ、そして1シーズンぶりに再び加入したレオナルド・ボヌッチを先発起用したアッレグリ監督。システムはロナウドを最前線に置いた4231と万全のメンツが揃った。
なぜユベントスは先制しながらも苦しんだのか
前半のキエーボは1トップのステピンスキを残し45のブロックを形成し自陣で対応してきたが、開始早々にピャニッチのFKからケディラが先制。早々に失点したこともあり、キエーボはここで引きすぎずにラインを上げて勝負していく。その結果、左右への揺さぶりでワイドな展開からジャッケリーニのクロスをステピンスキがヘッドで合わせ前半のうちに追いついた。
序盤はユベントスは最終ラインのキエッリーニ、ボヌッチを軸に、ピャニッチも加わり高い位置でのビルドアップを展開。そこで前線~中盤の選手を食いつかせてロナウドが下がってスペースで受け、トップ下のディバラが裏に走りこむという流れも見られた。
また、両サイドハーフがドグラス・コスタとクアドラードという縦に仕掛けられる選手を採用し、縦パスからの速攻も狙っていた。
ユベントスが攻めきれなかった理由があるとすればロナウド以外にペナルティボックス内で受けられる選手が少なかったという点だろう。ディバラは飛び込みむことはできるがスペースの無い状況下ではフィジカル的にもDFと競り合うのは厳しい。守備面でも堅守が持ち味にもかかわらず、全体的にらしくない寄せの甘さも目立った。
後半もその悪い点を突かれ右のカンセロがジャッケリーニに抜かれ倒してPKを献上、逆転を許すことになった。簡単にサイドを攻略されての失点だった。
右に流れたドグラス・コスタがクロスもPAには相手の4バックに対しロナウド一人しかいない。ディバラはボールを受けに来る動きを見せ起点となりたがっている。
ディバラとロナウドの縦の関係で抜け出そうとするも、ここでもキエーボ守備陣に囲まれ突破はできなかった。
ベルナルデスキ、マンジュキッチ投入で流れを変えるアッレグリ采配
この展開を当然良しとしないアッレグリは60分、クアドラードに代えてフェデリコ・ベルナルデスキ、さらに64分にはドグラス・コスタに代えてマリオ・マンジュキッチを投入し、両サイドハーフを代える采配を見せる。
前線にマンジュキッチが入ったことで、ロナウドが左右に流れてもターゲットマンができる状態となり、キエーボ守備陣にやっとプレッシャーが与えられる状況をつくりだした。
こうして攻撃のリズムを作りだし、終盤ににベルナルデスキのコーナーキックをボヌッチが合わせ同点(DFにあたりオウンゴール)に追いつくと、アディショナルタイムには左サイドからアレックス・サンドロが仕掛けシュート性のクロスにベルナルデスキが合わせ逆転。苦しみながらもアッレグリの戦術修正で開幕戦勝利を呼び込んだ。
ロナウドが左サイドからカットインしシュートを放つ、この時マンジュキッチ、ベルナルデスキ、ディバラがしっかりPA内にも入っている
アレックス・サンドロの左からのクロスに対し、マンジュキッチ、ロナウド、ケディラ、ディバラが構える。このボールはファーに流れるもディバラがPA内で仕掛けシュートまで至った。
アッレグリ「試合をコントロールしていると思って力を抜き、相手にクロスを入れさせたり、守備でまずい対応をしたりして、失点してしまう。それでもこのような試合は、再びリーグを制するのが難しい課題であることを再認識できるので、チームのためになる」
アッレグリ監督「このような形で勝つのは良いこと」