2月~4月中旬の重要ポイント
戦績 10試合3勝4分3敗
■スタートダッシュに失敗
■新外国人選手は十分に噛み合わず
■エウシーニョ不在の穴を埋めきれず
■大島、守田、小林ら主力の負傷
スタートダッシュに失敗
3シーズン目となる鬼木監督の元で3連覇を狙う川崎フロンターレ。 公式戦初戦となるゼロックス・スーパーカップでは、天皇杯覇者の浦和レッズを相手に新加入のレアンドロ・ダミアンが早速ゴールを決め勝利したが、翌週から始まったJ1リーグでは6節を終えて1勝4分1敗と厳しいスタートとなってしまった。
昨年は早々にアジアチャンピオンズリーグを去り(2分4敗でグループステージ敗退)Jリーグに絞った戦いに移ったが、今季も昨年と同じく上海上港と蔚山現代と同組に。
そこでまたしてもどちらにも初戦は0-1で負け、残るシドニーFCに勝利しかろうじて望みをつなげた。このようにACLとJ1の同時並行の戦いをこなしきれず苦しんでいるのが現状だ。
新外国人選手は十分に噛み合わず
不振の主な理由として個人的に感じたのが3つの要素だ。1つ目は新加入が思った以上にフィットしていないという事。
川崎は新外国人選手としてCBのジェジエウ、RSBのマギーニョ、FWのレアンドロ・ダミアンの3名のブラジル人を獲得したが、ここまでジェジエウは出場なく、マギーニョも開幕から2試合に先発するも川崎の連動性あるパスサッカーにはフィットせずその後は出場機会をなくした。
ブラジル代表歴もあり、前線の得点源として期待されたレアンドロ・ダミアンも開幕のゼロックス杯以降は3節の横浜FM戦のみしか得点がない。周りを生かすプレーはもちろん、川崎の選手のダミアンを生かすプレーも噛み合っていない。
例えばパスを繋いで崩す場面でダミアンが相手を釣り出し受け、スペースを作る動き。あるいは逆に味方の選手がダミアンにクロスを合わせる場面でタイミングの良いハイクロスを出せるかどうか。
知念慶との2トップも試すなど試行錯誤はしているがまだ解決には至っていない。この辺りのチーム戦術と既存の選手の個性をどれだけ早くフィットされられるかが上位進出への鍵となりそうだ。
エウシーニョ不在の穴を埋めきれず
2つ目はこれに関連した話でこれまでチームに貢献してきた左SBのエウシーニョを手放してしまったということだ。これによって右サイドからの連動した崩し、あるいは個での突破という武器がなくなり迫力に欠けている。
新加入のマギーニョは連携や守備面に課題が残り、馬渡は運動量多くアグレッシブさは見せているがそれもあってか負傷で離脱。そのため鈴木雄斗、さらには守田英正も起用するなど、ここもにも不安要素を抱えている。
川崎は全体のパスワークで相手を押し込み崩しきって点を取るスタイルなだけに片方のサイドが機能しなくなると相手からしても絞りやすくなる。
■大島、守田、小林ら主力の負傷
3つ目は主力選手の負傷離脱が相次いだこと。小林悠、大島僚太ともに負傷の多い選手ではあるがチームがうまくいかない序盤から抜ける時期があるとチームは厳しい。 それに加えて今年は守田英正まで負傷で日本代表離脱と、キーとなる選手が安定せず2つの大会を勝てるだけの状況は整っていない印象だ。
去年加入の齋藤学もチーム戦術にフィットせず出場機会は少なく、そういった面でも使える人材が限られている序盤戦となっている。
序盤の主力メンバー・システム
基本システム4231
GK チョン・ソンリョン
DF 車屋紳太郎、登里享平、谷口彰悟、奈良竜樹、(馬渡和彰、マギーニョ、鈴木雄斗)
MF 家長昭博、長谷川竜也(阿部浩之)、大島僚太、守田英正、田中碧、小林悠、家長昭博、中村憲剛
FW レアンドロ・ダミアン、知念慶
【負傷離脱】馬渡和彰、大島僚太、小林悠
基本システムは去年から変わらぬ4231を採用。最終ラインの車屋紳太郎、谷口彰悟、奈良竜樹は不動。エウシーニョが抜けた右サイドバックは競争が続く。
中盤は守備的な2枚を務める大島僚太と守田英正のコンビで始動したが、大島の負傷離脱もあり下部組織出身の田中碧が先発に定着。周りと連動したパス回しに秀でるという点で他の選手よりチームに適応できている。
二列目は長谷川竜也、中村憲剛、家長昭博、小林悠を使い分けている。中でも家長昭博は右サイドからの仕掛けや、中に入ってゲームメイクもこなし現チームの攻撃の核といっていいだろう。
家長と共にチームスタイルの軸となるのがチームの象徴とも言える中村憲剛。自陣に引いた状態の相手を崩す縦パスでの打開には欠かせない。
前線はレアンドロ・ダミアンと知念慶を起用。2トップも試したがその後は1トップでどちらかを起用する状況となっている。