2019シーズン開幕から2試合を終えたJ1。ここでは各クラブがどのようなシステムを採用し試合に臨んだのかを分析していく。
「システム」と一言でいっても実際は試合の戦況によって変わっていくのもの。ここでは自陣守備ブロック形成時の配置をベースに解説していきたい。
J1・18クラブの開幕戦のシステム
まずはわかりやすくするために、1節時点の最終ラインのセンターバックの数が3枚と4枚の二種類のクラブに分けてみた。すると、3バックは10クラブ、4バックは8クラブとほぼ半分という結果になった。
3バック【C大阪、鳥栖、広島、清水、仙台、浦和、松本、大分、湘南、札幌】
3421・9クラブ【C大阪、鳥栖、広島、清水、仙台、松本、大分、湘南、札幌】
4バック【神戸、名古屋、川崎、F東京、G大阪、横浜FM、磐田、鹿島】
半数を占める3412システム
こうして見ると、3412システムを採用しているクラブが9クラブと半分を占めている事がわかる。442が4クラブなので、J1では突出して多い。
松本山雅と大分トリニータの昇格組も採用しており、さらにサンフレッチェ広島、清水エスパルスも昨季の442から3421に変更してきた。
このシステムと言えば、過去サンフレッチェ広島(2006-11)、浦和レッズ(2012-17)で指揮を取り、現北海道コンサドーレ札幌の監督であるミハイロ・ペトロヴィッチが普及させたものだが、今季もまだまだ流行のシステムのようだ。
ちなみに同じ3412のクラブでも、両サイドのウイングバックが低い位置で5バックを形成し守備的に戦うか、より高い位置を取り攻撃的にかで戦い方は変わってくるし、今季もクラブによって違いが見られるが、ここでは省略している。
442のクラブを見ていくと、昨季上位の鹿島アントラーズとFC東京、さらに宮本恒靖監督が就任し順位を上げたガンバ大阪、選手の入れ替わりもあり不安定だった名古屋グランパスの4クラブが昨季から継続して採用している。
少数派のシステムの意図は?
残ったクラブを見ていこう。まずは浦和レッズから。昨季途中に就任したオズワルド・オリヴェイラ監督は今季も3142を採用。他の3バックのクラブとの違いは前線を2トップにしていることだ。今季も杉本健勇を獲得し、興梠慎三と2枚構成でここまで戦っている。
2連覇中の川崎フロンターレとジュビロ磐田が採用する4231は、中村憲剛、中村俊輔というトップ下を中心に考えたチームコンセプトが前提としてあるシステム。
ヴィッセル神戸は今季加入したダビド・ビジャ、イニエスタ、ポドルスキをどう生かすかを考えた末のシステムだろう。しかし開幕では噛み合わず敗れてしまった。
横浜F・マリノスは攻撃的なサッカーを信条とするアンジェ・ポステコグルーらしい4132(433)のシステム。ゲームの主導権を握って試合を進める、ヨーロッパの強豪クラブに多く見られるシステムである。
J1・2節でシステムを変えた2クラブ
対戦相手によって変わることもあるため、開幕戦でのシステムがベースとなるものかはわからなかったが、2節の試合でも16クラブは継続。問題ないクラブはこれからもそのまま試合を重ねていくだろう。
すでに変更のあったの2クラブで、昨季も併用していた3322を採用したベガルタ仙台と、トップ不在のシステムが噛み合わず、ダビド・ビジャをトップに置いた4231に変更したヴィッセル神戸。トップ下のイニエスタを中心とするよりベーシックなシステムに切り替えてきた。